不妊治療 Fertility treatment

不妊の原因・検査・治療について For Inspection and treatment and the cause of infertility

1.妊娠のしくみ

妊娠経過について
排卵 女性の卵巣の中には、約100万個の原始卵胞(卵子のもとになる卵胞)があると言われており、卵胞刺激ホルモンの作用で毎月数個が発育し、そのうちの1個が成熟卵胞となって排卵されます。
卵巣から排出された卵子は、まず卵管采に吸いこまれ卵管膨大部に送られます。
受精 いっぽうで、膣内に射出された精子は、子宮頚管から子宮腔内へ入り、子宮の両端までさかのぼって卵管内に入ります。
卵管膨大部で精子と卵子が合体すれば、受精卵となります。
子宮へ移送 受精卵は、その直後から細胞分裂をくり返しながら、卵管の中を移動し子宮腔へ送りこまれます。
着床 子宮腔内へ送り込まれた受精卵が子宮内膜に着床します。

女性ホルモンと月経周期

女性の体は脳の視床下部と下垂体から出る女性ホルモンの働きを受け、一定間隔で月経が繰り返し起こります。

  • 基礎体温 月経周期 子宮内膜の変化
  • ホルモンの変化

2.不妊症の原因

排卵障害 多嚢胞性卵巣症候群や高プロラクチン血症などホルモンの分泌異常があり排卵が起こらない。
卵管障害 子宮内膜症やクラミジア感染症による卵管炎が原因で卵管狭窄や、卵管閉塞が起こる。
精子異常 精液中の精子濃度が薄かったり(乏精子症)動きが弱い(精子無力症)。
黄体機能不全 子宮内膜への受精卵の着床を助ける黄体ホルモンの分泌が少ない。
子宮因子 子宮筋腫などがあり、受精卵がうまく着床できない。
抗精子抗体陽性 女性の体内に精子と結合する抗体があり、精子と卵子が受精できなくなる。
性交障害 さまざまな事情があって夫婦生活がうまくできない。
子宮内膜症 卵管と周囲の臓器が癒着して排卵した卵子が卵管に取り込まれない。
原因不明 従来の検査で異常が認められないもの。

3.男性不妊

造精機能障害 精巣内で「精子を造る」機能に障害がある状態。
精路通過障害 精子の輸送経路に問題があり、射精された精液に精子が混じらない状態。
性機能障害 精液所見に異常はないが、勃起障害などの性交障害や射精障害、性欲障害がある状態。
副性器障害 精巣上体、前立腺、精嚢などの臓器の機能不全。

4.不妊症の検査

必ず行う検査(基本検査)

基礎体温測定 毎朝目をさましたら、すぐに寝たままの状態で婦人体温計を舌の下に入れて体温を測ります。
基礎体温表からは排卵の有無、黄体機能不全の診断、排卵日の推定などがでます。
精液検査 精液を採取し精液中の精子濃度・運動率・奇形率などを調べます。
性交後頚管粘液検査
(フーナーテスト)
性交後の子宮頚管粘液の中にある精子の状態を見る検査です。
頚管粘液中の精子の様子を顕微鏡で観察することにより、精子の子宮頚管通過性を調べます。
子宮卵管造影 この検査は、生理の終了後から排卵するまでに行います。
方法は子宮口から細い管を子宮内に挿入し、レントゲン透視下で造影剤を子宮腔から卵管に注入し、子宮の形と卵管の通過性を調べます。
造影剤の注入直後と24時間以降にレントゲン撮影を行います。
検査後は卵管の通りが良くなり、妊娠しやすくなります。
超音波検査 この検査は、生理の終了後から排卵するまでに行います。
また、基礎体温が上がってから、排卵したかどうかの確認をします。
ホルモン検査(採血) LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、卵胞ホルモン(E2)、黄体ホルモン(P)などのホルモン値を測定することにより、排卵や妊娠の維持に必要なホルモンが正常に分泌されているか調べます。
PRL(乳汁分泌ホルモン)測定することで高プロラクチン血症がないか調べます。
男性ホルモン(テストステロン)測定し、多嚢胞卵巣症候群の可能性を調べます。
甲状腺ホルモン(TSH、FT4)を測定し不妊の原因となる甲状腺機能異常がないか調べます。
クラミジア感染症 子宮頚管内の分泌物を採取してクラミジア感染の有無を調べます。

必要に応じて行う検査

抗精子抗体検査(採血) 精子と結びつき精子の運動を止めてしまう抗体が女性の血液中に発見されることがあり、これを精子不動化抗体と呼びます。
不妊女性の数%に見つかります。
AMH
(抗ミュラー管ホルモン検査)
AMHとは発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンです。その値は、卵巣内にどれくらい卵の数が残っているか、つまり卵巣の予備能がどれほどかを反映すると考えられています。そのため、AMHは卵巣予備能の目安となる指標です。

5.不妊症の治療

排卵障害 不妊の原因として頻度の高いもので、排卵誘発剤を使い治療します。
排卵誘発剤には排卵障害が軽度な時に使う内服薬(クロミッド・セキソビット)や重症な時に使う注射薬(HMG)があります。
卵管障害(通過性が悪い、
周囲との癒着がある等)
子宮内膜症、クラミジア感染症が原因であれば、治療しますが、両側の卵管が完全に閉塞している場合、体外受精を考慮します。
精子減少症・精子無力症 精子が少ない方の治療の基本は次の2通りです。
第一は、精子の数を増やす治療を受けることです。
第二は、少ない精子を有効に使って妊娠するよう試みることです。
その方法として、濃縮洗浄人工受精法、体外受精、顕微授精があります。
黄体機能不全 基礎体温表で高温相が11日以下の方は黄体機能不全の可能性が高く、ホルモン剤の内服や注射が治療に有効です。
子宮筋腫・子宮内膜症を
合併している
子宮筋腫の大きさや発生部位によっては子宮筋腫を核出する手術を行うことがあります。
子宮内膜症が不妊の原因と考えられる時も治療を行います。
治療には手術療法以外に、ホルモン療法、アルコール固定療法があります。
精子に対する抗体がある 女性の血液中の抗精子抗体を調べます。
抗精子抗体が陽性の方は、体外受精法以外の方法では妊娠しにくいと考えられますので、体外受精をお勧めします。
夫婦生活が上手くできない 勃起不全の場合はバイアグラ・シリアスの服用が有効です。
原因不明 すべての不妊症検査で明らかな異常がない方は、不妊症夫婦の約20%を占めると考えられています。

6.基礎体温について

妊娠時期の基礎体温について

基礎体温とは、体の働きがもっとも静かな状態の体温で、朝目覚めてから体を動かす前に測る体温のことです。
基礎体温には、低温期と高温期の二層性があり、きちんと記録することにより、排卵の有無、黄体機能不全の診断、排卵の推定などができます。
月経が始まると体温は降下し始め、月経後一定期間は低温期が続きます。排卵日を境に体温は急上昇して高温期に入ります。
次の月経が始まる直前から体温は再び降下を始めます。
排卵日と前3日、後1日の5日間が妊娠しやすい時期です。低温期と高温期の区別がない場合、無排卵性月経ということが考えられます。

基礎体温の計り方

  • 毎日、寝る前には、枕元に体温計を置いておくようにしてください。
  • 朝、目を覚ましたら起き上がらず、そのまま寝床ではかります。
  • 体温計の温感部を舌の付け根の中央部分に入れ、口を閉じます。
  • はかり終えた体温を基礎体温表を正確に記入して、前日の点と結びます。
  • 正確な基礎体温曲線を見るために、できるだけ毎朝一定の時刻に計ってください。
  • 月経周期の欄には月経が始まった日を〔1〕日目と記入し、次の月経が始まる日まで、記入してください。
基礎体温表の記入方法について

基礎体温表のダウンロード

『基礎体温表ダウンロード』を右クリックし『対象をファイルに保存』を選択すると、ダウンロードが開始されます。