WEBご予約はこちら

知ってほしい不妊治療のこと

妊娠のしくみHow to become Pregnant

排卵 女性の卵巣の中には、約100万個の原始卵胞(卵子のもとになる卵胞)があると言われており、卵胞刺激ホルモンの作用で毎月数個が発育し、そのうちの1個が成熟卵胞となって排卵されます。 卵巣から排出された卵子は、まず卵管采に吸いこまれ卵管膨大部に送られます。
受精 いっぽうで、膣内に射出された精子は、子宮頚管から子宮腔内へ入り、子宮の両端までさかのぼって卵管内に入ります。 卵管膨大部で精子と卵子が合体すれば、受精卵となります。
子宮へ移送


受精卵は、その直後から細胞分裂をくり返しながら、卵管の中を移動し子宮腔へ送りこまれます。
着床 子宮腔内へ送り込まれた受精卵が子宮内膜に着床します。

妊娠は女性側と男性側の条件が全て揃って初めて成立する、
非常に複雑で神秘的な現象です。
この全ての過程がうまくいかないと妊娠は成立しません。

不妊症の原因Causes of infertility

01.主な女性不妊の原因

  • 排卵障害

    卵胞の発育が起こらないか、排卵直前の大きさまで成長するものの、卵胞 破裂が起こらない場合を排卵因子による不妊症と呼びます。
    不妊患者の15~20%を占めます。

  • 卵管の障害

    卵管は子宮と卵巣を結ぶ内径1mm程の管ですが、この卵管の閉鎖や狭窄、あるいは周囲の癒着などに基づく不妊を卵管因子による不妊と言います。
    不妊患者の約35%を占めます。クラミジア感染症でよく閉鎖します。

  • 着床障害 子宮の異常に伴うもの

    子宮に病変があると子宮内膜が損なわれ、着床ができなくなります。
    これを子宮因子による不妊と呼ます。不妊患者の約15%を占めます。

  • 着床障害 黄体機能不全に伴うもの

    子宮内膜に働きかけ、着床しやすくする機能を持つ黄体の働きが悪く、
    十分にホルモンが分泌されない場合を黄体機能不全による不妊と呼びます。不妊患者の約10%に認めます。

  • 子宮頸管粘液の異常

    排卵日頃の子宮の入口は頸管粘液で満たされており、その中を精子が子宮腔の奥の方へと遊泳していきます。
    頸管粘液の性状が悪く精子が進入できない不妊を、頸管因子による不妊と言います。不妊患者の約15%を占めます。

  • 子宮内膜症

    子宮内膜症は、本来子宮内にしか無い子宮内膜が、子宮以外の骨盤の腹 膜や卵巣の中に入り込んで増殖する病気です。
    子宮内膜症は一般の方には5~10%の頻度に見られるのに対して、不 妊の方では20~30%に見られ不妊の原因になっているのではないか と考えられています。

  • 卵の捕捉障害

    卵巣から飛び出した卵は、ラッパの様な格好をした卵管采に捕捉され卵管内へ取り込まれます。
    卵管采が変形・捻じれていては卵は取り込まれません。
    これが原因で妊娠しないものを卵の捕捉障害による不妊と呼びます。
    難治性不妊の約半数が捕捉障害であることがわかってきました。

  • 受精障害

    卵管で精子と卵が出会い受精しますが、これが正常に進行せず不妊になる ことがあります。
    精液所見が正常でも、これら一連の現象がうまくいかないものを受精障害による不妊といいます。
    受精障害は体外受精を行った時のみ確認できます。

  • 免疫性不妊

    女性の体内に精子と結びついて、精子の運動性や受精能力を損なう抗体と 呼ばれる物質があることがあります。
    抗体が不妊に関与している場合を免疫性不妊と呼び、不妊患者の数%に見られます。

02.主な男性不妊の原因

  • 造精機能障害

    妊娠するためには、まず動きの良い十分な数の精子が膣内に射精されなければなりません。
    精子が少なかったり、動きの悪い精子が多い場合には妊娠しにくくなります。
    精子に原因がある場合を男性因子による不妊と呼び、不妊患者の約40%を占めます。

  • 精路通過障害

    精巣で精子はつくられているのに、精管に何らかの問題があり、射精がう まくできない状態。
    先天性の場合と、病気や事故の後遺症などによるものがあります。手術で改善することが出来る場合もあります。

  • 性機能障害

    勃起しない・射精できないなど、性行為が出来ない状態。

  • 副性器障害

    精巣上体や前立腺、精嚢腺などの副性器が炎症を起こし、精子の運動率が低下し、その為に妊娠しにくい状態。
    主な原因は、クラミジアや結核菌の感染です。

03.両方(男性・女性)にある不妊の原因

  • 高齢化

    年齢を重ねると、生殖能力の低下、卵子・精子の老化が起こり、それに伴い妊娠の確立も低くなっていきます。
    特に女性の妊娠のしやすさは、30歳を越えると以降、毎年3.5%ずつ低下して行き、特に30歳代後半からは顕著に低下します。

  • 性交障害

    さまざまな事情があって夫婦生活がうまくできない状態。

04.原因不明

機能性不妊、原因不明不妊

ひと通りの不妊症の検査をしても、原因が見当たらず、赤ちゃんが授からない原因不明の不妊のことです。
不妊症の10人に一人は原因不明の不妊症だといわれています。

不妊症検査の内容Infertility test

女性の検査

一般不妊検査

基礎体温測定 毎朝目をさましたら、すぐに寝たままの状態で婦人体温計を舌の下に入れて体温を測ります。 基礎体温表からは排卵の有無、黄体機能不全の診断、排卵日の推定などがでます。
超音波検査 この検査は、生理の終了後から排卵するまでに行います。 また、基礎体温が上がってから、排卵したかどうかの確認をします。
ホルモン検査(採血) LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、卵胞ホルモン(E2)、黄体ホルモン(P)などのホルモン値を測定することにより、排卵や妊娠の維持に必要なホルモンが正常に分泌されているか調べます。 PRL(乳汁分泌ホルモン)測定することで高プロラクチン血症がないか調べます。 男性ホルモン(テストステロン)測定し、多嚢胞卵巣症候群の可能性を調べます。 甲状腺ホルモン(TSH、FT4)を測定し不妊の原因となる甲状腺機能異常がないか調べます。
クラミジア検査 採血を行い、クラミジア感染の有無を調べます。
子宮卵管造影 この検査は、生理の終了後から排卵するまでに行います。 方法は子宮口から細い管を子宮内に挿入し、レントゲン透視下で造影剤を子宮腔から卵管に注入し、子宮の形と卵管の通過性を調べます。 造影剤の注入直後と24時間以降にレントゲン撮影を行います。 検査後は卵管の通りが良くなり、妊娠しやすくなります。
性交後頚管粘液検査
(フーナーテスト)
性交後の子宮頚管粘液の中にある精子の状態を見る検査です。 頚管粘液中の精子の様子を顕微鏡で観察することにより、精子の子宮頚管通過性を調べます。

特殊不妊検査

抗精子抗体検査 血液検査で、男性の精子を不動化させる抗体があるかを調べます。
子宮鏡検査 子宮に直径3~4mmの内視鏡を挿入し、子宮腔内を調べます。
腹腔鏡腔鏡 おなかに5mm程度の小さな穴をあけて、内視鏡を挿入しておなかの中を直接観察する検査です。

01.初診時の検査

検査項目
  • 内診
  • ホルモン検査
  • 超音波検査

02.低温期の検査

検査項目
  • ホルモン検査
  • 超音波検査
  • 子宮卵管造影検査
  • 子宮鏡検査
  • 腹腔鏡検査

03.排卵期の検査

検査項目
  • ホルモン検査
  • 超音波検査
  • フーナーテスト(性交後頚管粘液検査)
  • 頸管粘液検査

04.いつでも可能な検査

検査項目
  • クラミジア感染症検査
  • 抗精子抗体検査

男性の検査

精液検査 精液を採取し精液中の精子濃度・運動率・奇形率などを調べます。

不妊症の治療Medical treatment of infertility

排卵障害の場合

治療方法01薬物療法

クロミフェン療法/シクロフェニル療法(セキソビット)/hMG‐hCG療法といった排卵誘発剤を使い治療します。

治療方法02タイミング指導

排卵日を予測し、妊娠の可能性の高い日に性交を持つよう指導していきます。

卵管障害の場合

クラミジア感染症の治療方法

抗生物質を服用します。パートナーも一緒に治療を行う必要があります。

子宮内膜症の治療方法

子宮内膜症の度合いを見て、ホルモン治療、手術療法、体外受精のどの治療を行うか選択します。

精子減少症・精子無力症の場合

治療方法01人工授精(洗浄濃縮人工授精)

通常採取した精液中には、運動しなくなった精子や奇形の精子が存在し ます。これらの精子を除去して、運動良好な精子だけを抽出し、回収し た精液を一般に洗浄濃縮精液といいます。 この良好な精子を使用し人工授精を行い、妊娠の確立を高めます。

治療方法02体外受精、顕微授精

重症の乏精子症や人工授精では妊娠に至らなかった場合は、体外受精・ 顕微授精の適用となります。良好な精子が少なくても、体外受精・顕微 授精では十分に妊娠の可能性があります。

黄体機能不全の場合

治療方法01ホルモン療法

黄体ホルモン剤を服用し、排卵後の黄体機能の維持が行われるようにし ます。また、良好な卵子が出来るように、排卵誘発剤を使用します。

子宮筋腫の場合

治療方法01手術療法

子宮筋腫の大きさ・場所から、妊娠の妨げになると判断した場合には、子宮 筋腫の核出手術(子宮の正常な組織を残し、筋腫のみを摘出する方法)を行 います。

抗精子抗体陽性の場合

治療方法01体外受精

精子は女性の体内で受精できないだけなので、女性の体の外で受精する体外 受精を行います。

性交障害の場合

治療方法01薬物療法

勃起不全の場合は、バイアグラ・シアリスの服用が有効です。

治療方法02人工授精(洗浄濃縮人工授精)

性交がうまく出来ない場合は、人工授精が有効な治療方法となります。

機能性不妊・原因不明不妊の場合

検査で特に原因となる異常が見つからないのに妊娠しない場合は、タイミング指導から治療を始めます。

タイミング指導から治療を始める

基礎体温についてAbout basal body temperature

基礎体温とは、体の働きがもっとも静かな状態の体温で、
朝目覚めてから体を動かす前に測る体温のことです。
基礎体温には、低温期と高温期の二層性があり、きちんと記録することにより、
排卵の有無、黄体機能不全の診断、排卵の推定などができます。
月経が始まると体温は降下し始め、月経後一定期間は低温期が続きます。
排卵日を境に体温は急上昇して高温期に入ります。
次の月経が始まる直前から体温は再び降下を始めます。排卵日と前3日、後1日の5日間が妊娠しやすい時期です。
低温期と高温期の区別がない場合、無排卵性月経ということが考えられます。

基礎体温の計り方

  • 毎日、寝る前には、枕元に体温計を置いておくようにしてください。
  • 朝、目を覚ましたら起き上がらず、そのまま寝床ではかります。
  • 体温計の温感部を舌の付け根の中央部分に入れ、口を閉じます。
  • はかり終えた体温を基礎体温表を正確に記入して、前日の点と結びます。
  • 正確な基礎体温曲線を見るために、できるだけ毎朝一定の時刻に計ってください。
  • 月経周期の欄には月経が始まった日を〔1〕日目と記入し、次の月経が始まる日まで、記入してください。

基礎体温表のダウンロード

『基礎体温表ダウンロード』を右クリックし『対象をファイルに保存』を選択すると、
ダウンロードが開始されます。

基礎体温表のダウンロード